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ガレットからパンへ(part2)

ガレットからパンへ、急いで話を進めよう。パンはおそらく肥沃な三日月地帯で生まれ、ヨーロッパ全域とアジアの大部分に広まった。いまもなお中央アジアは、世界でも伝統的なパンづくりが行われている地域である。極東でも、小麦粉の発酵生地が米という伝統的な穀物と共存している。

前2000年紀にさかのぼるメソポタミアの粘土板には、200種類以上のパンが挙げてあり、粉の種類、こね方、さまざまな原料の添加物、味や香り、焼き方に従って分類されている。現在の多くのパン屋で並んでいるパンよりずっと種類が豊富なのである。香辛料や卵、動物性油脂やオイル、蜂蜜、果実を加えた菓子パンやブリオッシュのたぐいも、いまから4000年前にすでにつくられていたことがわかる。

また、こんにちでも中東やヨーロッパ北部に見られるような薄くのばした生地でつくる平パンが、ふくらんだパンとすでに共存していたことも、指摘しておこう。ガレットは数時間生地をねかせておくだけで発酵する。いっぽうふくらんだパンは、少量のビールやスープ、酸っぱくなった粥といったパン種を外から加えることで発酵する。インドではこんにちでも、発酵乳やヨーグルトでナンの生地に種菌をつけている。

それらのガレットは、炉の石の上に置き、あるいは、まだあたたかい灰の下にじかに入れておけば、すぐに焼けた。粘土でできた円筒形の大きな窯、チヌルで焼かれるものも多かった。これは、こんにちでも北インドでナンが焼かれているタンドールの先祖で、アフガニスタン、イラン、カフカス地方、中央アジア南部でも、このような窯を使ってパンを焼いている。鐘型のおおいや丸天井のついた焼成レンガの窯でも焼かれたが、現在のパン窯の先祖であるこのような窯は、新石器時代から南ヨーロッパに存在していた。

「発酵食の歴史」2019 マリー=クレール・フレデリック P184より

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